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12レッドストーン(yonausa.net/redstone/)小説目次>小説3『過去、悪魔と追放天使』

レッドストーン小説【チャーミングストーリー〜悪魔の恋愛物語〜】

12レッドストーン漫画&小説 追放天使悪魔の因果関係が明らかになる!?



小説追放天使画像

--------------------V 過去、悪魔と追放天使--------------------

『悪魔を倒すのを手伝ってくれないか』
そう神妙な面持ちで切り出したのは追放天使のエンゲルだった。
追放天使。天上界から追放されたためにその名がつけられたという。
追放された原因が、悪魔がらみであるということは知っていたウィザードのウィメンだったが、詳しい事情はエンゲルが話さないため知らないでいた。
追放天使は、追放される時に背中に付いている羽を片方、引き千切られる。何かを犯した罰だそうだ。
エンゲルは何をして羽を折ることになったのだろうか。ウィメンはそんな謎めいた追放天使に興味が湧いた。 最初は興味本位だったのだがエンゲルの懐の広い人柄に男ながら惚れている。だから、エンゲルに誘われたら断れない。
今でも時々感じるが、エンゲルと出会ったばかりのころは背中の折れた羽を見るたびに痛々しかった。

『ああ、もちろん』
ウィメンはそう言って快く引き受けたのは数日前のことだった。

どこともわからない山の奥深くを進み、少々疲れが出てきた。
エンゲルは、終始表情が暗く、重い足取りだが淡々と向かっているようだった。
先頭を切って、前だけ向いて進む後ろ姿はりりしくもあり、頼りにみえる。
だが、ウィメンはエンゲルの暗い表情が気になっていた。
自分に言えない何かがあるのだろうか。

『疲れたか?』エンゲルは立ち止まり、後ろで歩いている遅れ気味のウィメンに問う。
『ま、まあな。オレ、体力ないしな』ははははと苦笑いするウィメン。
『だな。お前はやたらと頭がよくて知識はあるが、食が細いからな。もっと食わないと俺のようにたくましい男になれないぞ』と、軽く自慢げに言い、やっとエンゲルに並んだウィメンの肩に手をまわし『よくここまで歩いた』と冗談混じりに称えた。

二人はひと休みすることにした。
木陰に腰を下ろし、空を見上げるエンゲル。
季節は夏で外は蒸し暑く、木陰で涼むどころか汗が噴き出す。

『はぁ〜、暑い〜・・まだつかないのか?目的の場所』
だらーんと、木に寄りかかって今にも干からびそうなウィメンは、懇願するような瞳でエンゲルに話しかけた。

が、回答がないので『さっさと片づけて早く帰りたいよ』と、ひとりごとのように言い、笑う。

『もうすぐだよ・・・』ワンテンポ遅れてぽつりとエンゲルは答えた。
ウィメンは、そのかすれた消え入りそうな声に驚き、目をまるくした。
自分の顔を見ず、下を向いて一点を見つめているエンゲルにさきほどの元気はない。
まるで、そこに行きたくないかのようにも思えた。

そんなエンゲルの態度を見ていると、ますます『何かある』と勘繰りたくなる。
『なあ、倒す悪魔ってもしかして知ってる女?』
ウィメンは、楽にしていた腰を起こし、背伸びをしながら聞いた。

その言葉を聞き、一瞬びくっと驚いたような表情をしたエンゲルだったが、目を細めて冷静にウィメンに問い返す。
『ふっ、知りたいか?』
『ああ、お前は謎の宝庫だ。オレにしたら上等な研究材料だぜ』
いつもと変わらぬ表情で問い返してきたエンゲルに少しほっとしたウィメンはおどけてみせた。
『知りすぎもよくない。知ると戦いづらくなるかもしれないからな』
『なんだよソレ。もったいぶってないで教えろよ』
『いーんだよ。お前は知らなくて。悪魔は悪魔だ。倒すことに全力を注げよ』
ずっと目を細めた表情を変えないままそう告げて、『さあ、いくか』と立ち上がる。
結局、はぐらかされてしまった。

悪魔討伐に駆り出されることになって、出発前にその悪魔について少し調べてはいた。
その悪魔は、山の奥深い洞窟にいて、洞窟に迷い込んだ老若男女すべてを誘惑しては自分のとりこにしてしまい、衰弱して死ぬまで帰さない女だという。
死体は川に放り投げられ、川下に流れついた無残な姿に、人々の涙と怒りは爆発した。

そこで、何度かその悪魔討伐に腕の立つ戦士や剣士、ランサーやアーチャー達が駆り出されては戦っている。
しかし、ことごとく失敗し誘惑されたものは死体となっていた。

エンゲルは、悪魔討伐隊が初めて結成されるようになってから参加している古株だ。
もしかしたら以前に一度戦っているのかもしれない。その時に何かあったのかもしれない。

エンゲルの羽。片方折れた羽の秘密もそこにあるのかもしれない。

そんな謎に包まれた疑問をこれから知ることができるだろう喜びにあふれた。
ウィメンは不謹慎ながらも高揚する自分の感情を抑えられず、自然と歩く足にも力が入って早足になった。

しばらく進むと洞窟が見えてきた。
『あれか?』ぱぁっと表情を輝かせて元気に声を発するウィメン。
『ああ、あれだ』目を細めて洞窟を見据えて冷静を装うエンゲル。

この対照的な二人の心情を飲み込もうとしている洞窟が目の前にある。

とうとう、たどりついてしまった・・・。

エンゲルは密かにそう嘆き、
疲れたと言っていたのがうそのように元気なウィメンが先に突っ走るのを静かに追った。

一転して、空は雲に覆われていた。雲の隙間からさえ、太陽の光はささない。
今にも雨が降り出しそうな中、嵐の予感で胸が押しつぶされそうになるのを必死にこらえるエンゲルの心に浮かぶのは、これから戦わなくてはならないひとりの悪魔の名前だけ。

シュマリー

悪魔のシュマリー

彼女の中には悪魔がいて・・・、いや、悪魔が彼女自身。
悪魔以上でも以下でもない。
ただ、悪魔だっただけ。
天使の自分は、悪魔を忌み嫌い隔離した。
悪魔にさびしい思いをさせたのはすべて天使のせいだと思う。

悪魔と天使。天使と悪魔。

どっちに転んでも一緒なのに。

光と影。白と黒。

表裏一体でありながらも反発しあい、お互いを受け入れられなかった報い。

自分は救えなかった。彼女を救えなかった。そんな自責の念に追い込まれる。

あれは、遠い昔。天使も悪魔もなく、天上界で共に暮らしていた同志の時代。
エンゲルとシュマリーも幼いころはよく遊んだ。

二人の違いは白い羽か黒い羽かというだけ。

あの事件が起きるまでは本当に幸せだったのだ。
赤い石が盗まれるあの事件だ。

平穏を保っていたとされる赤い石が何者かの手で盗まれた。
赤い石の場所に残されていたのは、黒い羽。

当然、黒い羽を持つ者が疑われた。

シュマリーも例外ではなかった。
黒い羽を持つ者は、白い羽を持つ者によって隔離され、抵抗するものは殺された。

やがて、天上界からすべての黒い羽を持つ者が消えた。
黒い羽は両方とももぎ取られ、界下へと落とされた。

エンゲルは、シュマリーを追わずにはいられなかった。

周りが反対するのを振り払い、天上界を出た。

シュマリーのもとに急いだ。シュマリーは大陸でも逃げる日々を送っていた。
何で追われるのか。何でみんな冷たいのか。何でみんな自分を嫌うのか。
逃げ疲れたシュマリーは山奥の洞窟にひきこもってしまっていた。
エンゲルがシュマリーと再会しても、シュマリーの心は晴れなかった。
相変わらず心はすさんでいて、何もかも信じられないようだった。
エンゲルさえも突き放し、縮こまりおびえるのだ。

それでもエンゲルはシュマリーを見守った。一定の距離を保ち、近づかず離れずの距離。
話してくれなくても、触れられなくても、遠くには行きたくなかった。
シュマリーが見える所にいたかった。

そんなどうしようもできない無念の月日が流れたある日、突然シュマリーがエンゲルの寝ているそばに立っていた。
エンゲルはそれに気がつくと、いっぺんに目が覚めた。うれしくてシュマリーに抱きついた。

『シュマリー!どうしたの?俺に会いに来てくれたの?うれしいよ』
と、エンゲルはシュマリーに笑顔を向けた。

けれど、シュマリーの顔は笑ってはいなかった。
『シュマリー?』

『あんた、嫌い』
そう言い放つと、エンゲルの羽に手をかけて力を込めた。

グキッ

あらぬ方向に曲がった羽。

『うっ・・痛っ・・痛いよ、シュマリー。お願いやめて・・・』

ボキッ

羽が完全に折れて引き千切られた。

『シュ、シュマリー・・・な・・・ぜ・・・・?』
エンゲルはぼんやりとする視界の中で、シュマリーの狂喜な目を見た。
やがて目の前が真っ暗になり、気を失ったのだった。

それから、何日かして背中の痛みと共に目を覚ましたエンゲルは、自分がまだ生きていることに驚いた。

もちろん、周りを見渡してもそこにシュマリーの姿はなかった。
折れて引き千切られた羽も消えていた。

---------------あんた、嫌い
あの夜の出来事が脳裏によぎる。中でもシュマリーの狂喜の目が強烈に残っていた。

もう、シュマリーは自分には笑ってくれない。
この白い羽が憎いんだと知った。

でも、殺さなかったのは・・片方しか折らなかったのは・・・

---------------自分に少しは情があるからだ

というわずかな希望を抱いた。うぬぼれかもしれないが、そう、信じたかった。


エンゲルはシュマリーをこの時あきらめた。
自分では救えないと悟ったからだ。

折れた羽をかばいながら、山を離れ、近くの村にたどりついた。
そして、村人が山に行くと帰らない。戻ってこない。という騒ぎを聞きつけた。

とっさに、シュマリーのことが頭に浮かんだ。
シュマリーは大丈夫なのだろうか。

この時は、それがシュマリーのしわざだったとは考えもしなかったエンゲルだった。

羽を片方だけだが失ってしまったエンゲルは、天上界へ戻ろうにも戻れずじまいでどうしようかと途方にくれていた。
酒屋に入り浸り、飲んだくれる日々の中、悪魔退治という村人の言葉に耳を疑った。

悪魔・・・退治・・・?

キリリと胸の奥が痛む。
かつて、自分達が行った数々の残虐な出来事を思い出す。

悪魔って・・・まさか・・・

悪い予感は当たった。
その悪魔はシュマリーだと知るのに時間はかからなかった。
知ってしまったからには、見て見ぬふりはできない。
それでも何度も、もう関わるのはよそうとも思った。
関われば、いつか自分がシュマリーを殺してしまうに違いないと思う。
けれど、いてもたってもいられず、村人の中心になって指揮を執ることにした。
あんな事は繰り返してはいけない。繰り返さない。きっとシュマリーを救う。
今度こそ救う。そんな新たな思いから立ち上がった。

自分にはできる

そう信じて

洞窟の入り口に立った。奥は真っ黒に暗くて何も見えない。
先に行ったウィメンに遅れてしまった。ごちゃごちゃ考えている自分が情けない。
考えてもしかたない。なるようにしかならないのだから。

すぅっと息を吸い込み、深呼吸をする。
これからどんなことが起こるのか正直怖い。胸が激しく鼓動する。
それでも、行かなければならない。

行って、今度こそシュマリーに伝えなければならない。

改めて意を決し、エンゲルの瞳に光が走る。
ふぅ〜っと息を出し、ゆっくりと洞窟へ踏み込む。
そこは、どこまでいっても深く暗い混沌の闇が広がるブラックホールのようにエンゲルを迎え入れた。

今にも闇に吸い込まれそうな危うやなエンゲルは、前を睨み続けることで自分を保っていた。
決して明けることがないかもしれない不安に立ち向かうのは限りなくつらい。
羽のようにすぐにも心が折れそうになるのを必死で踏ん張り阻止するしかできずにいた。

そんな頼りない自分の心を引きずりながらも、一歩、また一歩と確実に歩を進める。

この先にいるだろう悪魔シュマリーとの対面はもう間近だ。

小説天使と悪魔画像

3【過去、悪魔と追放天使】

追放天使の悪魔への想いを綴ってみました。お話は練りに練っていないので思いつきで書いてます。 最初の構想では特別な思いはなく、敵対心だけの設定だったのですが、どうせなら複雑にしたほうが面白いかなと書いてるうちにどんどん思い入れを盛り込んでしまいました。 読んで理解してもらえるように自分では書いているつもりですが、少々説明、描写がクドくなってますでしょうか。 この過去編2編が一連のお話の要であり、発端となります。次の4が、私が一番書きたかったシーンとなりますのでお楽しみに。

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